(若いキャストに囲まれた監督、サンセバスチャン映画祭にて)
A: ビリャロンガ監督は寡作ですが生と性に拘って撮りつづけている監督、話題作『ブラック・ブレッド』(2010)の他、『月の子ども』(1989)や『海へ還る日』(2000)など評価の高い記憶に残る映画を撮っています。未公開ですが『アロ・トルブキン――殺人の記憶』(LB2004上映)も忘れられない。
B: 『海へ還る日』は東京国際レズ&ゲイ映画祭上映時は、「エル・マール〜海と殉教」だった。本作を見ながらちょっと思い出した映画です。本作の幕開きはグロテスクだがコメディタッチ、ところがあっという間に悲劇が起きる。
A: まさにジェットコースター、冒頭描写は過不足がない。母親を失うシーンでは一瞬『黒いオルフェ』(1959)を思い出した。横道になるが、オルフェには2通りあり、マルセル・カミュが撮ったほう、パルムドール受賞作品です。しかし映画としては後発のカルロス・チェギスの『オルフェ』(1999)のほうがよかった。
B: 端から死の匂いが漂っているが、時々織りこまれる笑いのタイミング、緩急のつけ方も上手かった。何の前触れもなく訪れる不幸が観客の意表をつく。
A: 1990年代のキューバは特殊な時代
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