「死の天使」ヨーゼフ・メンゲレ医師もコロニア・ディグニダに滞在していた!
★ルシア・プエンソの『ワコルダ』(“Wakolda”2013)の舞台はアルゼンチン、パタゴニアの風光明媚なバリローチェ、フロリアン・ガレンベルガーの“Colonia”(2015,独・ルクセンブルク・仏)の舞台はチリ中央部マウレ州リナレス県のパラル市郊外です。前者はアウシュヴィッツでユダヤ人の人体実験をおこない「死の天使」と恐れられたSS将校ヨーゼフ・メンゲレ医師がアルゼンチンに逃亡して暗躍する実話、イスラエル諜報特務庁モサドが舌を巻くほどの知的モンスターだった。後者はヒトラーユーゲント団員HJだったパウル・シェーファーが、児童の性的虐待を告発されチリに逃亡、1961年に設立した“Colonia Dignidad”(尊厳のコロニー)の真相を暴く実話。両作ともナチスと軍事独裁政権絡みの社会派ドラマです。最近、前者のメンゲレ医師が一時的にこの「コロニア」に滞在していたことが判明するなど、埋もれていたナチスや軍事独裁政権下の闇の掘り起こしが始まっています。両国はホロコーストを逃れてきた多くのユダヤ系ドイツ人と同時に、利用価値があるならばナチスであろうが積極的に受け入れてきた不思議の国といえます。
*ルシア・プエンソ
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