ベルリン映画祭で幸運なスタートをきる
★マラガ映画祭の「審査委員長にマヌエル・グティエレス・アラゴン監督」のアナウンスには、スペイン映画のオールドファンの一人として驚きを隠せなかった。民主主義移行期から1980年代を通して、多くの名作が本邦にもたらされ、若手ながら批評家の評価は高かったが、突然の引退表明から大分時が経っていたからでした。2008年製作の「Todos estamos invitados」(銀のビスナガ審査員特別賞受賞作)を最後に60代での引退はいかにも早すぎ、いずれ撤回するに違いないと思っておりましたが、TVシリーズはあっても長編映画を撮ることはありませんでした。インタビューの前段として監督キャリア&フィルモグラフィーをアップします。
(フリックスオレのインタビューを受けるグティエレス・アラゴン、マラガFF2023)
★マヌエル・グティエレス・アラゴン、1942年カンタブリア州トレラベガ生れの監督は81歳、ゴヤ賞ガラの前日に鬼籍入りしたカルロス・サウラの次の世代に当たります。ホセ・ルイス・ボラウの『密漁者たち』やハイメ・カミーノの『1936年の長い休暇』に監督とシナリオを共同執筆した名脚本家としての評価も高い。マドリード大学で哲学と文学を学ぶかたわら、1947年設立の国立映画研究所(IIEC)を1962年に組織替えした国立映画学校(EOC)に入学、監督を学び、卒業制作「Hansel y Gretel」(ヘンゼルとグレーテル)を撮る。短編数編を撮ったのち、1973年エリアス・ケレヘタの製作によってデビュー作「Habla, mudita」が誕生した。当時の大物プロデューサーだったケレヘタとの出会いが幸運だった。
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