好き嫌いがはっきり分かれるホラー「救える距離」の不穏
★サンセバスチャン映画祭2021セクション・オフィシアルに初めてノミネートされたクラウディア・リョサの「Distancia de rescate」が、『悪夢は苛む』の邦題でネットフリックスで配信が始まりました。邦題の陳腐さはさておき字幕入りでの鑑賞を喜びたい。フラッシュバックや伏線多様のミックスの隙間を埋める想像力が要求される作品です。しかし不可解で象徴性に満ちていますが、注意深く登場人物の警告を聞き逃さなければ、理解できないというわけではありません。ジャンル的にはサイコスリラー、ホラー・ファンタジーなどと簡単に括れない。というのも形が見えない母性の怖れと不安、生態系の危機、民間療法による魂の転移、やや終末論的な言説もあり、現実と非現実を行ったり来たりするからです。
(クラウディア・リョサ監督、サンセバスチャン映画祭2021フォトコール)
★監督キャリア&フィルモグラフィー、主演者マリア・バルベルデとドロレス・フォンシ、原作者で脚本も手掛けたサマンタ・シュウェブリン
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