アルベルディの初ドラマ『イン・ハー・プレイス』のテーマは居場所探し
★マイテ・アルベルディの『イン・ハー・プレイス』(仮題「他人の家」)を期待して鑑賞しました。第97回アカデミー賞とゴヤ賞2025のチリ代表作品に選ばれたということ、1950年代に実際に起きた作家マリア・カロリナ・ヘールの動機が明らかでない犯罪にインスパイアされたということなどからでした。しかしドキュメンタリー『83歳のやさしいスパイ』(20)ほど楽しめなかった。というのも肝心の恋人殺害の動機の分析は語られず、その理由は次第に分かってくるのだが、実在しない架空の登場人物たちが右往左往する。要するに殺人犯である作家の複雑な心理解明がテーマでなく、社会的弱者である裁判所の女性書記メルセデスの居場所探しの話なのでした。メルセデスは当時のチリの男性社会から無視されている多くの女性の代弁者の一人、監督は70年後の現在でも「状況はそれほど変わっていないじゃないか」と主張している。従って映画はメルセデスの視点で進行する。サンセバスチャン映画祭のコンペティションでプレミアされた折に作品紹介をしておりますが、便宜上キャスト紹介とストーリーをアップします。
(マイテ・アルベルディ、サンセバスチャン映画祭2024のフォトコール)
キャスト紹介
セコメントをする